これまでのデモ行進の経験は、全労連系のメーデーや憲法集会などであるが、それは混乱など起こる気配もない平和的な「パレード」だ(最近は「デモ行進」といわずに「パレード」と称することが多いようだ)。これは悲しいことに、この国の権力機構に大した脅威を与えていないという現実の表れでもある。
自由と生存のメーデーに対して警察が圧力を強めるのは「脅威」を感じているからだろう。それは当然だ。連合、全労連といった既存労働組合の労働者は、一定の生活レベルが保障されており、「現状を変えよう」と考えているものがどれほどいるかあやしい。事実、組織率は下がり続けている。それに対して自由と生存のメーデーは、「貧困」に直面しているフリーターやワーキングプアなど不安定労働者が中心だ。非正規雇用者を対象とした労働組合は増殖している。
16時から「宣言集会」。会場の大久保地区センターははじめての場所。新大久保駅で地図を確認し歩き始める。しばらくするとマスクをした怪しい男が多数、ビデオカメラを構える一帯に到着した。公安の諸君ご苦労様、会場に迷わず到達することができたよ。
会場は人で溢れ返っていた。550人ほどの参加で、会場に入れなかった人も多数いたようだ。ドイツのデモの様子や福岡のデモの様子が映像で紹介された後に、参加団体のアピールにが行われた(途中、塩見孝也さんの発言には会場から野次が飛んでいた)。最後は宣言文が採択されて集会は終了。
集会に続いて「デモ行進」。今回のポイントは、新宿大ガードをくぐった後に伊勢丹を折り返してアルタ前の新宿駅東口広場に到るということ(コース図)。外へ向けてのアピールとしては絶好のコースだ。
やはりこれまで私が参加してきた「パレード」とは違う。車道側は大量に動員された警察官がきっちり遮断。出てくる言葉は命令調。もちろんデモ参加者はそんなことお構いなし。「犬は黙ってろっ」と叫ぶ人、わざと旗が警官の顔にかかるようにする人など、様々な抵抗が行われていた。
車道側は警官が遮断していたが、歩道側には動員されていなかった。これは2006年からの大きな前進だと思う。2006年の頃の参加者は100名程度だったと聞いている。そのためにデモ隊を完全包囲することができたのだろう。今年はスタート時で550人程度、最終的には1000人程度まで膨れ上がったらしい。デモ参加者が「増殖」したことにより、「デモ隊の包囲」から「車道側のみ遮断」へと、規制を後退させることができたのだ。
初めてのインディーズ系デモ体験は刺激的だった。「とりあえず現場を見てみよう」という思いでの参加で周囲のシュプレヒコールに声を合わせるだけだったが、来年は「勝手に管理職にするな」「残業代払え」というプラカードを作って「名ばかり管理職」として参加してみようかな。あっ、その際は顔出しNGで。
【参照サイト】
UnionTube
各地で「独立系メーデー」 格差・貧困の解消訴え(朝日)
Also Sprach Mkimpo Kid
Freeter’s Free Memorandum
右近の日々是好日。
氷河期世代からの反撃
ラベル:自由と生存のメーデー