2008年06月29日

三郷生活保護裁判第 4回口頭弁論

 報告が遅くなりましたが、6月25日に行われた「三郷市生活保護裁判第4回口頭弁論」に前回に引き続き行ってきました。

 今回も101号法廷で、事前の告知では傍聴席は41席。しかし裁判所側の配慮があったのか、傍聴席は43席準備されました。それに対して傍聴希望者は77人。半数近くは傍聴できません。

 なんとなく、イヤーな予感がしていたんですよね。まぁ、こういうものって当たってしまうのでしょうか。連続傍聴記録は2でストップ。残念ながら抽選に外れてしまいました。ということで、傍聴報告はできません。口頭弁論終了後の報告会について触れておきます。

 いつものように、口頭弁論で使用したパワーポイントに沿って説明がされました。今回は原告側の「第4準備書面」に基づく弁論です。

 この「第4準備書面」は、第3回口頭弁論の時に説明した、原告側が三郷市側に提出していた「釈明申立書」に対する回答がようやく出てきたため、その回答(三郷市の主張)に対する原告側の反論となっているようです。内容は下記原告側資料を参照して下さい(今回は長いです)。

 それにしても相変わらず三郷市(の弁護人)は、いい加減な主張を続けていますね。まぁ、全て後付けの屁理屈ばかりで根拠がないからでしょうね。三郷市が主張すればするほど、「申請させない(水際作戦)ことを前提に、自治体が果たすべき義務を何もしていない」ことが明らかになってきています。

 報告会では今後の活動をいかに広げていくかについて意見が出されました。これについては「支援する会」に提案したいことがあるのですが、その場では言えませんでした。無責任なことはいくらでも言えますが、やはり自分ができないことを事務局にやれとは言えないので。ただ独り言として、こっそりブログに書かせていただきます。

【三郷生活保護裁判を支援する会事務局への提案】
 私が探した限り、三郷市生活保護裁判についての支援する会の公的な情報はネット上にありません。個人、もしくは支援団体のブログばかりです。駅頭での宣伝行動なども重要ですが、今以上の活動の広がりをつくるには、ネットでの情報発信は欠かせないと考えます。
1)三郷市生活保護裁判を支援する会ブログ開設
・「支援する会ニュース」の配信(PDFファイルでの公開も含む)
・「支援する会」賛同者募集
・口頭弁論日程告知
・口頭弁論資料公開(個人情報を削除した上で)
2)市民運動系メーリングリストでの情報発信
・口頭弁論日程告知
・ブログ更新の告知
・「支援する会」賛同者募集

 勝手なことを言ってすいません。さて、次回日程は9月24日です。裁判所も夏休みをとるので、しばらく先になります。

■三郷市生活保護裁判第5回口頭弁論
日時:2008年9月24日(水) 10:00〜
場所:さいたま地方裁判所 101法廷
※傍聴券の抽選は9:30から行われると思います。



----------(以下原告側資料をもとに、あめ男が作成)----------

【原告第4準備書面の概要】

■被告(三郷市)の主張に対する原告らの反論
1.原告らの要保護性
2.原告らの申請不存在等
3.住居費の不支給
4.転居指導の違法性
5.追い出し行為の隠蔽
6.「自立」の意味
7.三郷市の違法な受給抑制

■原告らの要保護性
○三郷市の主張
『自動車ローン、基準額を超える家賃等を支払っている原告らの家族が生活困窮状態にあったとは評価できない』(被告準備書面)
⇒自動車ローン及び家賃の支払の削除が可能
⇒削減分を生活に充当することが可能

○自動車ローン、家賃の支払
・自動車ローンの支払の有無
・基準額を超える家賃の支払の有無
★これらは生活保護受給の要件ではない
★生活保護受給要件を欠くと判断する理由とはなりえない

○自動車ローン、家賃の支払の削減は不可能
・平成17年2月当時、自動車以外の交通機関による通院が困難な状態
⇒自動車ローン、駐車場代は最低限必要
・引越代、敷金等の工面が困難、転居もままならない
⇒やむを得ず家賃の支払を継続
★自動車ローン、家賃の支払は生活を維持するするための必要経費である

○原告ら家族に十分な収入はあったのか?
以下原告A(男性・世帯主)、原告B(女性・Aの配偶者)とする。
・原告A 「白血病」「今後も治療が必要」
・原告B 医師から「就労困難」との診断を受けていた。
・長男 「明日からアルバイトを開始」(当時)
⇒当面の収入がほとんど期待できない
★平成17年2月当時、原告ら家族の収入は大きく割り込んでいたことが客観的に明らか

○長男の就労状況について
三郷市の主張(釈明書より)
『平成17年2月当時、活用が期待される稼働能力があった』
『長男の稼働能力が十分に活用されているかは不明であった』
⇒『稼働能力があった』が『活用されているかは不明』
★つまり、三郷市は当時の長男の稼働能力について必要十分な検討をまったく行なっていない。

○平成17年2月当時の原告Aの病状
・国立がんセンターに入院
・白血病治療の継続が必要
★原告Aの稼働状況、収入の可能性の有無、医療費の支出の程度等が、要保護性の判断の重要な要素。

○三郷市の主張
『(平成17年2月時点の)原告Bの話から、自助努力によって最低生活を維持できる余地があると判断した』(被告準備書面)
⇒その根拠は?
『原告Aの稼働、収入の可能性を前提に判断していない』(被告釈明書)
『(医療費について)被告には説明されていない』(被告準備書面)
『(どの程度生活費の工面が可能か)わからない』(被告準備書面)
★つまり、『自助努力によって最低性生活を維持できる余地があると判断した』根拠は、『何もない』ということ。

○原告家族らの要保護性否定の根拠
『生活費以外に車のローン、高額な家賃の支払をしていること、長男が働き始めたことなど、トータルに考えて判断した』(被告釈明書)
★極めて空疎な主張であり、最初から原告らを窓口で追い返すことを予定していたと考えられる。

○三郷市の要保護性の判断について
 弁護士が立ち会うことによって、平成18年6月より生活保護の受給が開始された。

○平成18年6月より保護を開始した理由(被告釈明書より)
『自動車ローン及び家賃の支払を停止したこと』
⇒いつ支払をやめたのか?
⇒三郷市がそれを知ったのはいつか?
・「長男の別居」
⇒長男の就労状況は?
⇒原告ら家族の生活に与える影響は?
・「長女からの援助」
⇒援助の額は?
⇒援助の頻度は?
★保護開始理由について具体的な主張が一切ない。つまり、保護開始理由に根拠がない。

○三郷市の主張は
・判断の根拠、過程について具体的な主張がまったくない。
・ただ事実を恣意的に羅列し、結論のみ主張。
・論理に著しい飛躍、主旨も極めて不明確。
★主張の体をなしていない。

■原告らの申請不存在等
○申請不存在に対する反論
・生活保護の申請は非要請式行為
⇒「保護を受けたい」という意思が最低限表明されれば足りる
原告B
・三郷市福祉課を複数回訪問
・原告Aが白血病で入院、今後治療継続
・預貯金及び生命保険なし
・借金があり生活が楽ではない
★保護申請の意思が主観的客観的に表示されている

○「適切な対応」に対する反論
原告ら家族は平成17年2月以降明らかなよう保護状態にあった
・三郷市の義務
『生活保護制度上の手続き、諸権利について適切な説明』(説明義務)
『生活保護申請を行なうよう助言』(助言義務)
・三郷市の対応
⇒平成18年6月まで申請の要件ではない補足性の原理について執拗に説明
⇒明らかなよう保護状態にある原告らに対し、生活保護の申請を行なうよう助言することは一切なし
★悪質な説明義務、助言義務違反
・三郷市が申請の不存在を主張することの不当性
「適切な助言を行なうことはもとより、生活保護制度の内容を十分説明の上、保護申請について、適切に教示すべきであった」(平成19年10月9日福岡県知事裁決)
⇒「相談者の申請行為を妨害、遅延させる違法な対応を行なった当事者が、申請の意思表示の不存在を主張することは許されない」との価値判断に由来
★本件も同様の価値判断が妥当する事案

○住宅費の不支給
三郷市
『滞納家賃がある、契約更新がない、立ち退きを求められているという状況から、家賃確認の証明書の提出を求めた。その提出をしなかったことを不問にして、家賃不支給を違法と延べるのは不当』
→『証明書を提出しなかったから住宅費を支給しなかった』という理屈
★家賃確認の証明書は不要
・法定更新により従前の契約通りの家賃額であったことが明らか
・住宅扶助の支給は有効な賃貸借契約の存在が確認できればよい
⇒賃貸借契約書と督促状で足りる
⇒三郷市所定の賃貸借契約書は、賃貸借契約の存在を確認する書式に過ぎない(住宅費不支給の根拠とはならない)

○理由のない住宅費の不支給
三郷市
『住宅費の需要がなかったとは主張していない』
『契約期間が満了しており、更新拒絶されていた状況では、その後の契約関係は当事者の見解の対立、相違が予想された』
『更新契約がない以上、新賃料が未定と判断した』
⇒住宅費の需要があり、法定更新により必要な賃料額は明らか
★当然に支給すべき住宅費を支給しなかったのは違法である

■転居指導の違法性
○廃止に向けた「話し合い」
三郷市
『原告から生活保護廃止の希望が述べられた』
『自分の力でやるだけやってみる、それで駄目なら葛飾区へ生活保護の相談をするという話し合いができた』
⇒原告らが自発的に自らの意思を述べていない
⇒原告らと被告との間では井蛙k都保護制度に関する知識、情報量、交渉力の差が歴然
★話し合いではなく、三郷市による転居の指導である。

○「精神的支援」の意味
三郷市
『経済的支援がなければ、精神的支援では意味がないような主張は失当である』
⇒葛飾区への転居指導により、三郷市が原告らに対する生活保護による経済的支援を不当に打ち切ったことが問題。
★争点からあまりにもずれた主張

○親族の住居により近い転居先候補
※葛飾への転居にあたり、親族の支援が期待されている。
・原告B 転居先候補としてより親族の住居に近い物件を三郷市へ提出
a.6万5000円
b.6万7000円
・それに対し三郷市
⇒『家賃が高額』、転宅費不支給の説明
・葛飾区の複数世帯の住宅扶助限度額=6万9800円
★三郷市は転宅費が支給できないとの虚偽の説明を行なった

■追い出し行為の隠蔽
○「話し合い」と保護離脱の見通し
三郷市
『原告から生活保護廃止の希望が述べられた』
『自分の力でやるだけやってみる、それで駄目なら葛飾区へ生活保護の相談をするという話し合いができた』
⇒原告B、長男に収入なし
⇒長女のアルバイト収入は4〜5万円
★原告らに具体的に要保護状態を離脱できる見込みなし

○「自立」と保護離脱の見通し
三郷市
『生活保護の受給を継続したいという意思表示が明示されないのに葛飾区に通知する義務はない』
『必要なら葛飾区で申請できるので問題はない』
『申請したいのであれば事前に通知もできたし、その助言もした』
⇒原告らの「自立」を強調
★「自立」のためには最低限の経済的生活基盤があることが前提
★要保護状態を離脱する見通しが立たなければ保護廃止は不当

○「個人情報保護」
三郷市
『個人情報保護の観点から葛飾区に転居の通知をしなかった』
・三郷市個人情報保護条例
⇒法令に定めがあるときは本人の同意不要
・厚労省の法令施行細則準則4条
・三郷市生活保護法施行細則4条の2
⇒被保護者の転出に関する新転居地への通知をする義務
★『個人情報保護の観点から通知をしない』ことは三郷市が定める個人情報保護条例にも違反している

○転居後の受給意思
三郷市
『原告らが転居後は保護を受けないという意思を表明したので葛飾区への移管通知をしなかった』
・東京都生活保護運用事例集
⇒被保護者が保護の受給要件や廃止事由を正しく理解しているか
⇒保護需給が継続できることを認識した上で任意かつ真摯に辞退を申し出ているか
⇒保護廃止によって被保護者が窮迫した状況に陥るおそれがないか
★転居先で保護の継続を望まない意思は表明されていない
★三郷市も十分な調査検討を行なっていない
★三郷市は当然に葛飾区に移管通知をしなければならない

○世帯単位の原則に反する処理
三郷市
『原告Aのみ退院まで引き続き三郷市で保護を継続』
・生活保護法第10条『世帯単位の原則』
⇒原告BとAを別世帯として取り扱うことは許されない
★三郷市の追い出し行為が直ちに明らかになることを恐れたための隠蔽工作

■「自立」の意味
三郷市
『自立の意思を抑制することこそおそれるべきである』
『生活を立てていくためには不確実な状況の中に一歩を踏み出さなければならない場面もあることは当然』
○自立助長
「市民が権利の主体として生き抜くための社会経済的精神的な諸条件を行政において整備し、市民の主体的な生存を援助すること」(憲法25条、生活保護法1条)
★要保護状態を離脱していない要保護者に対して生活保護受給をやめさせることは自立ではない

■三郷市の違法な受給抑制
○申請率の低さ
三郷市
『生活保護と無関係の相談についても面接記録表を作成している』
⇒埼玉県による生活保護監査実施結果の面接相談件数には、生活保護と無関係の相談件数は含まれない
『保護率を見ると三郷市は近隣と比較して低くはない』
⇒保護率で判明するのは現に生活保護を受けている人の多少
★生活保護相談者が実際に申請することができたかどうかという問題点からは無意味

○三郷市の申請率
・さいたま市をのぞく埼玉県内の39市中最低(平成17年度)
・相談延べ件数39市中ワースト2(平成18年度)
・実相談件数39市中ワースト3(平成18年度)

○埼玉県の監査結果
三郷市
『鋭意改善に努力しているもので、固定的に捉えられることは適切ではない』
・平成19年度生活保護法施行事務監査
「記録上からは要保護者としての確認を優先している」
「相談者に自動車の使用を制限する助言を行なっている」
「複数階にわたる相談が多い。輪番制などの体制上から主訴をきちんと把握できない例証か」
「記録上は稼働能力の活用などの表現が目立つ」
「扶養義務者、稼働能力の活用などの表現が目立つ」
★平成15年以後に改善がなされたとは考えられない

----------(以上原告側資料をもとに、あめ男が作成)----------



■関連投稿
三郷市生活保護裁判を支援する会
三郷生活保護国家賠償請求 第2回口頭弁論
三郷生活保護裁判 第2回口頭弁論
三郷生活保護裁判 第3回口頭弁論

■参照サイト
労働組合って何するところ?『三郷生活保護裁判 第4回口頭弁論』
法学館憲法研究所『三郷生活保護裁判(1)』


posted by あめ男 at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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